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口腔ケアをはじめる前に
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STEP3 はじめる前の準備
声かけ・説明
お口はとても敏感な器官です。なんの説明もせずに、いきなりお口の中に触ろうとしてしまうと、口腔ケアをより強く拒否されてしまいます。
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脱感作・リラクゼーション
お口が開かない原因は、多くの場合、心理的な要因によることが多いため、心身の緊張をほぐすことが大切です。
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姿勢を整える
口腔ケアをするとお口が刺激されて、だ液が出てきます。あごが上がった状態などでは、誤ってだ液が肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。誤嚥性肺炎を予防するために姿勢を整える必要があります。
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開口誘導・開口保持
脱感作やリラクゼーションをおこなって、お口に触れるようになったら、次のステップは「お口を開ける」ことです。お口を開けるためには、あごの関節を動かすだけでなく、筋肉の緊張をほぐして、開けやすい状態にすることが大切です。
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お口の中の観察
お口を開けたままの状態が保てるようになったら、必要に応じてライトなどでお口の中を明るく照らし、口腔ケアをしても問題がないか、異常がないかを確認します。
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声かけ・説明
お口はとてもプライベートな場所なので、いきなり触ろうとすると口腔ケアを嫌がられてしまうことがあります。
口腔ケアを行う前には必ず「これから口腔ケアを行います」といった説明が必要です。
事前に説明が必要な理由とは?
お口はとても敏感な器官です。なんの説明もなく、いきなりお口の中にふれると、口腔ケアを強く拒否されることがあります。お口はデリケートな場所であることを認識し、ご高齢の方に丁寧に接しましょう。
口腔ケアも介助と同じように、「させていただいている」という気持ちで行うことで、その思いが伝わり、スムーズな口腔ケアにつながります。
口腔ケアをしやすくするために
お口を触らせていただくための準備がしっかりできていると、歯ブラシなどの器具も無理なくお口の中に入り、短時間で効果的な口腔ケアを行うことができます。「口腔ケアのための準備ができているお口」とは、十分にお口が開き、お口の中がある程度うるおっていて、誤嚥しないような姿勢が保てていること、そしてご自身でお口を開けてくださる状態が理想です。
ゆっくりと声をかけて、説明をする
まずは、リラックスしてもらうことが大切です。ケアを受ける方のゆったりとした時間の流れに合わせて、動作や言葉もゆっくりとし、普段より少し大きな声で話すようにしましょう。
「こんにちは!歯みがきに来ました。今日はいいお天気ですねぇ~」
はじめに挨拶と、歯みがきに来たという目的を伝えます。
「そういえば今年は何年でしたっけ?来年は?」
このように、日常的な会話を交わしながら、その日の心身の状態も確認します。気持ちよく口腔ケアを受けていただくためには、会話が大切な役割を果たします。一見関係ないように思えても、会話はスムーズな口腔ケアにつながる重要なポイントです。
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POINT
気持ちよく口腔ケアを受けていただくためには、コミュニケーションが大切です。
口腔ケアをしなくちゃって思うあまりに、コミュニケーションがおろそかになってしまうのは、すごくもったいないことだと思うの。
お口を開いてもらうためには、まずは心を開いてもらうことが大切なの。
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脱感作・リラクゼーション
お口を開けてもらえないときは、相手がリラックスできるようにすることが大切です。
お口が開かない原因は?
お口が開かない原因は、多くの場合、心理的なものです。心やからだの緊張をほぐしてあげることで、開きやすくなります。ただし、病気が原因でお口が開かないこともあるので、決して無理をせず、必要に応じて医師や歯科医師に相談しましょう。
脱感作とは?
会話の機会が減り、食事をお口からあまり食べなくなると、 お口の運動が不足し、お口の中が過敏になったり、感覚に異常が生じたりすることがあります。こうした症状をやわらげていくことを「脱感作(だつかんさ)」といいます。
リラックスしていただくために
ケアを受ける方にリラックスしていただくためには、リラックスできる雰囲気づくりも大切です。まずは、お口から離れた場所にやさしくふれつつ、声をかけてみましょう。
手のひら → 腕 → 肩 → ほほ
徐々にお口に近づくようにします。
ふれながらマッサージを行う
会話しながら肩をもみ、首のマッサージをしてから、顔にふれていきます。その後、だ液腺のマッサージやお口のストレッチなどを行いましょう。
だ液腺のマッサージは緊張をほぐすだけでなく、だ液が分泌されてお口の中がうるおいます。
また、保湿剤を塗りながらお口の中をマッサージをすると、過敏な症状がやわらぎ、口腔ケアにも協力していただきやすくなります。
うまくできないときの方法
それでもふれられることに強い抵抗を感じる方には、まず会話をしながら指先にそっとふれてみましょう。徐々に手のひらや腕、肩へとふれる場所を移していき、ゆっくりと口元に近づけていくことで、相手の気持ちに寄り添いながら口腔ケアを行うことができます。
大切なのはあせらないこと
口腔ケアを受けていただけるまでに、数日かかる方もいらっしゃいます。 思うように進まなくても、あせる必要はありません。 相手のペースに合わせて、ゆっくりと進めていきましょう。
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POINT
はじめての口腔ケアで、ふれることができなくてもあせる必要はありません。
生活に自分のリズムがあるように、口腔ケアだって人それぞれリズムはあるの。
ケアをする相手にリラックスしてもらうためには、わたしたちも同じようにゆったりとした気持ちを持つことが大切なのよ。
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姿勢を整える
姿勢は誤嚥を予防するうえで、非常に重要です。
口腔ケアを受ける方の状況に応じて、場所と姿勢を決めます。
姿勢が重要な理由とは?
口腔ケアを行うと、お口が刺激されて、だ液が分泌されます。あごが上がった状態などでは、誤ってだ液が肺に入ることで「誤嚥性肺炎」を引き起こす恐れがあります。誤嚥性肺炎を防ぐためにも、姿勢を整えることが大切です。
イスや車イスでの口腔ケア
洗面台まで移動できる方への口腔ケアです。
注意点
あごが上がった状態で口腔ケアをしない
目線の高さで口腔ケアを行う(相手の上から口腔ケアを行うと、あごが上がってしまいます)
しっかりと深く腰掛けていただく
車イスの場合は、フットレストから足を下ろし、足をしっかり床につける(その方が踏ん張りやすくなります)
あごを手で支えながらケアを行う
歯科衛生士の方への注意点
歯科医院での治療では、患者さんの顔やお口にはふれないというルールがありますが、要介護者の口腔ケアでは事情が異なります。ほほにふれたり、お口の中に指を入れてマッサージを行うことで、緊張がゆるみ、だ液の分泌も促されます。
また、お口を開けて顔を上に向けるのがつらい方も多いため、あごに手を添えて支えると負担が軽減できます。ふれるときは、ためらわずに声をかけ、やさしくしっかりとふれるようにしましょう。
ベッドでの口腔ケア
ベッドから起き上がることができない、寝たきりの方への口腔ケアです。
注意点
ベッドをギャッジアップ(頭側を上げる)して、できるだけ上半身を起こしていただく
顔を真正面ではなく、横向きにする
上半身を起こせない場合は、側臥位(そくがい:横向き)にする
あごが少し引けるように、枕やタオルを頭や首の後ろに挟む
ひざや足下など、からだにも枕やタオルを挟んで調整し、からだがずれないように安定させる
片まひの方への口腔ケア
身体の片側にまひのある方は、お口の中のまひ側に汚れが残りやすく、また気づきにくいため、みがき残しに注意が必要です。
また、お口の片側がしっかりと閉じられないため、うがいが十分にできない場合もあります。 ご自身でお口を押さえて、うがいをしてもらったり、うがいの後にお口に残った水をふき取るなどの工夫をするとよいでしょう。
イスや車イスでの注意点
まひのある方は、姿勢が安定しにくいため、枕やタオル、クッションなどをまひ側に挟んで姿勢が崩れないように工夫します。ご自分でブラッシングされる場合は歯ブラシを持ちやすくするため、柄の太い歯ブラシを用意する、または、手と歯ブラシをベルトで固定するなどの工夫をしてみましょう。先述の「イスや車イスでの口腔ケア」の注意点もご参照ください。
ベッドでの注意点
寝たきりで片まひのある方への口腔ケアでは、どちら側を下にして横になるのかが重要です。ご本人がご自身でブラッシングされる場合は、まひ側を下にして横向きに寝ていただき、まひのない手で歯ブラシを持って、ケアを行います。介護者がブラッシングをする場合は、まひのない側を下にして横向きに寝てもらい、口腔ケアを行います。ベッドでの口腔ケアについては、先述した注意点も併せてご確認ください。
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POINT
ベッドから起き上がれなくても口腔ケアはできます。
だ液を間違えて飲み込まない工夫をしっかりすることが大切なの。
寝たきりでお口をあまり使わなくても汚れはたまるから、できるだけ口腔ケアができるといいなって思うの。
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開口誘導・開口保持
お口を開けていただき、その状態を保つための工夫をすることで口腔ケアがしやすくなります。
お口を開けるために
脱感作やリラクゼーションを行い、お口にふれられるようになったら、次に必要なのは、お口を開けていただくことです。お口を開けるには、あごの関節を動かすだけでなく、筋肉の緊張をほぐして開けやすい状態にすることが大切です。
唇のマッサージ
いきなり歯ブラシやスポンジブラシをお口に入れるのではなく、まずは唇のマッサージからはじめましょう。
唇が乾燥している方も多く、開口時に切れてしまうことがあるため、唇のマッサージはとても大切です。
お口の中のマッサージ
保湿剤を使ってお口の中に塗るように行うマッサージは、 口腔ケアを嫌がる方やお口を開けにくい方への導入として効果があります。方法は次の通りです。
口腔内がうるおっていると、お口の環境はよくなります。お口をスムーズに開けていただくためにも、 保湿をしっかり行いましょう。
お口を開けておいていただくために
お口を刺激すると、反射でかんでしまう方がいます。また、筋力の低下により、口腔ケア中にお口を開け続けるのがむずかしい方もいらっしゃいます。 そのような方には、開口を保持する器具を使うことで、お口を開けたままの状態が保てます。開口保持のための器具は、いろいろな種類がありますので、お口の状態に合わせたものを選ぶようにしましょう。開口保持のための器具を使って、しっかりとお口を開けておくことができれば、口腔ケアがしやすくなるだけではなく、お口を開け続ける負担が減り、より快適に口腔ケアを行うことができます。
開口保持の器具がない場合は
お口を開けておいていただくための器具が用意できない場合には、もう1本歯ブラシを用意し、その柄をかんでいただくことで開口を保つことができます。
歯ブラシの柄に、ビニールホースをかぶせてかんでいただくと、より安定しやすいでしょう。歯ブラシの柄1本分のすき間が確保できれば口腔ケアを行うことは可能です。 器具がない場合は、身近なもので工夫してみましょう。
手作りの開口保持の器具
巻き綿子(まきめんし)という開口保持にも適した器具がありますが、これを身近なもので手づくりすることができます。
手作り巻き綿子のつくり方
お口の中に入れるものですので共有はできません。衛生面を考慮し「使い捨て」での使用をおすすめします。どなたでも簡単につくることができますので、ぜひ試してみてください。
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POINT
開口保持のための器具は 身近なものを工夫して利用できます。
開口保持ができるとお口の中が見えやすくなるだけじゃなく、誤って指をかまれてしまうことも防げるの。
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お口の中の観察
お口の中をよく観察することで、口腔ケアの際に注意すべきポイントがわかります。
お口の問題・異常を見つけるために
お口を開けた状態が維持できたら、必要に応じてライトなどで、お口の中を明るく照らし、ケアが可能か、異常がないかを確認しましょう。
開口を維持できず、観察がむずかしい場合は、指をお口の端からすべり込ませて、ほほの内側をそっと触って反応を確かめてください。とくにお口の中が乾燥していると、ほほの粘膜も硬く乾燥して、触ると痛みを感じたり、出血したりすることがあります。無理のないように注意して、少しずつふれるようにしましょう。
スムーズな口腔ケアのために
口腔ケアに必要な器具は、あらかじめ予測して準備しておきましょう。その後、お口の中の観察に入ります。観察の結果に応じて、ケアの方法や使う器具を追加で選ぶことで、効率的にケアを進めることができ、より快適な口腔ケアを提供できます。
観察のポイント
最低限おさえておきたいポイントをそれぞれご紹介します。
はじめて口腔ケアを行うとき
歯はどのくらい残っているか
入れ歯を使用しているか、入れ歯の種類は何か
どの部分にどのよう汚れが付着しているか
お口は開けることができるか、またどの程度開けられるか
だ液は十分に分泌されているか
うがいができるか
むせることはないか
継続して口腔ケアをおこなっているとき
初回の観察ポイントと比較して、注意すべき点の変化や違いを見つけるようにしましょう。
汚れのついている場所の変化(いつもより汚れている、前よりきれいになったなど)
お口の中の乾燥の程度(だ液の分泌状況)
お口の開き具合(開口の拒否があるか、自発的に開けてくれたか、誘導してお口を開いたかなど)
歯や入れ歯の状態(前にあった歯がない、入れ歯を入れていないなど)
うがいをするときのお口の動かし方(水を吐き出す力など)
観察結果の記録
観察した結果は、必ず記録に残しておきましょう。
記録に残しておくことで、次回の口腔ケアに役立ちます。また、介護を担当する人同士で情報を共有できるので、口腔ケアの目標がより明確になり、成果も把握しやすくなります。
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POINT
観察した結果を記録しておくことは、目標や成果を明確にすることにつながります。
とくにみんなで協力して口腔ケアを行うときには、とても大切なことなの。
ご高齢の方は、少しの痛みだとがまんしてしまうこともあるから、お口の中をしっかり観察して、問題点に早く気づいてあげてね。
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