歯のケア

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STEP1 歯みがきの前に

ご高齢の方のお口の中はとてもデリケートです。快適に歯みがきを行うためにも、事前の準備をしっかり整えましょう。

保湿

保湿
お口の中が乾燥した状態で口腔ケアを行うと、汚れがしっかりとこびりついていて、取り除くのに時間がかかります。また、唇やお口の端が切れやすくなっていたり、歯ブラシなどが歯ぐきやほほなどにふれる刺激により、痛みを感じる場合があります。

歯ブラシの持ち方・選び方

歯ブラシの持ち方
歯ブラシは鉛筆を持つように持ってみてください(ペングリップ)。
余計な力が入りにくく、小回りがきくため歯にしっかりと当ててみがくことができます。

歯みがき粉について

歯みがき粉の使用について
歯ブラシをしっかりと歯に当ててみがくことで、歯の汚れが取り除けます。歯みがき粉をたくさん使うと、お口の中がさっぱりした感じになるため、それだけで十分にみがけたような気分になってしまい、実際には汚れが落ち切らないことがあります。

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保湿

高齢になるにつれてお口の中が乾燥しやすくなるため、保湿することが大切です。

お口をうるおすことが大切な理由

お口の乾燥
お口の中が乾燥した状態で口腔ケアを行うと、汚れがしっかりとこびりついているため、取り除くのに時間がかかります。また、唇やお口の端が切れやすくなっていたり、歯ブラシなどが歯ぐきやほほにふれた際に痛みを感じる場合もあります。汚れを落としやすくし、痛みの少ない口腔ケアを行うためには、保湿がとても重要です。お口の中をしっかりとうるおすことで、硬くなった粘膜や舌苔(ぜったい)、痰などがふやけ、汚れが落ちやすくなります。

ブクブクうがいによる保湿

マウスウォッシュ
ブクブクとお口を動かす「ブクブクうがい」ができる方には、口腔ケアの前に、あらかじめブクブクうがいをしていただきます。お口の中がうるおうほか、お口に残った食べかすも取り除けます。ブクブクうがいは水だけでも十分ですが、とくに乾燥が気になる方の場合は、うるおいを与える低刺激タイプのマウスウォッシュの使用が効果的です。

吐き出せない場合

ご自分で水やマウスウォッシュを吐き出すことができない方は次のようにしてお口から水を出してください。

吐き出せない場合
  1. 顔を少し傾け、指で下唇を引き下げる
  2. お口の中にたまっていた水やマウスウォッシュをガーグルベースンに出す
  3. スポンジブラシや口腔ケア用ケアウエットティシュでお口の中の水分をふき取る

ブクブクうがいができない場合

水をお口に含んでブクブクするうがいができなくても、お口の中の保湿は必要です。

ブクブクうがいができない場合

次のようにしてお口の中をきれいにし、うるおいを与えましょう。

  1. お口の中に食べかすが残っている場合は口腔ケア用ウエットティッシュでふき取る
  2. 歯ブラシやスポンジブラシで歯と粘膜をきれいにする
    ※歯ブラシやスポンジブラシは、繰り返しきれいな水ですすぐようにする
  3. 最後に口腔ケア用ウエットティッシュや水をしぼったスポンジブラシでお口の中をふき取る

保湿剤とリップクリーム

ブクブクうがいによる保湿以外の方法として、保湿剤を唇やお口の中に塗るという保湿方法があります。
また、リップクリームを唇やお口の端に塗る、だ液腺マッサージで、だ液の分泌を促すのも効果的です。「開口誘導・開口保持」のページでは、保湿剤を使ったお口の中のマッサージ方法をご紹介しています。歯のケアの前には「姿勢を整える」「お口の中の観察」を合わせてチェックして、お口をケアしやすい状態にしましょう。
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POINT

さまざまな乾燥対策やアイテムがあります。

マウスウォッシュ、保湿剤、リップクリーム…乾燥対策のアイテムってたくさんあるの。
それだけ保湿が重要視されているから痛みの少ない口腔ケアを行うためにも、まずは保湿を忘れないことがポイントね。
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歯ブラシの持ち方・選び方

歯ブラシをギュッと握って力を入れてみがいても、歯はきれいになりません。

歯ブラシは鉛筆を持つように

歯ブラシの持ち方
歯ブラシは鉛筆を持つように持ってみてください(ペングリップ)。この持ち方は余計な力が入りにくく、小回りがきき、毛の先が動くので歯にしっかりと当ててみがくことができます。
持ち方は、必ずしもこの限りではありません。ご高齢の方がご自身でみがく場合は、普段から慣れている持ち方でもいいでしょう。 片まひの方や握力の低下している方は、歯ブラシを手のひら全体で握ると、しっかりと持ちやすくなります(パームグリップ)。

歯ブラシ選びのポイント

ポイントは中指の第一関節の大きさと、やわらかめの歯ブラシ

歯ブラシを選ぶポイントは、大きさ、硬さ、そして毛質です。
歯ブラシの植毛部分の大きさは、中指の第一関節、もしくは上の前歯2本分の大きさを目安にするといいでしょう。
硬さは、ふつう~やややわらかめで、毛質はナイロン製のものをおすすめします。硬すぎる歯ブラシは、歯ぐきを痛めてしまう恐れがあります。

ナイロンは乾きが早く、水洗いをした後はブラシを立てておくとしっかりと乾燥し、細菌の繁殖を防ぐため衛生的です。先が細い歯ブラシやギザギザしたかたちの歯ブラシは、みがき方がむずかしいため、シンプルな歯ブラシが適切です。

口腔ケアに慣れていないご高齢の方は、歯ブラシの刺激が痛みに感じ、口腔ケアの拒否へつながってしまうこともあります。そのような場合には、やわらかめの歯ブラシに交換してみることも、ひとつの方法です。

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POINT

口腔ケアに合った歯ブラシ選びと握り方がポイントです。

先が細い歯ブラシは適したみがき方が分かれば、効果的に使えるの。
でも、誰でも使いやすいのはシンプルな歯ブラシ。正しく使えば汚れもよく落ちるからおすすめなのよ。
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 歯みがき粉について

歯みがき粉は絶対に使わなければいけないものではありません。使わなくてもしっかりと汚れを落とせれば十分にお口のケアはできます。

みがけたつもりの歯みがき粉

歯ブラシの持ち方
歯の汚れは歯みがき粉ではなく、歯ブラシの毛先が歯に当たって動くことで落とすことができます。歯みがき粉をたくさんつけてみがくと、お口の中がさっぱりしたように感じてしまい、十分にみがけていない場合があります。歯みがき粉の適量は、小豆1つぶ分から大豆1つぶ分です。使わなくても歯垢は取り除くことができますので、歯みがき粉をつけすぎないようにしましょう。

歯みがき粉の効果

歯みがき粉を使うことにより期待できる効果としては、歯みがき粉に含まれている研磨剤が歯垢を取り除きやすくしたり、ステイン(コーヒーなどによる歯の着色汚れ)の除去につながったりすることです。
そのほか、口臭予防のためのものやフッ素配合など、さまざまな種類の歯みがき粉が登場しています。

研磨剤が含まれていない歯みがき粉

歯みがき粉について
多くの歯みがき粉には研磨剤が含まれています。研磨剤が入っていることで、歯の表面についた汚れが落ちやすくなります。ただし、注意が必要です。研磨剤によって歯を傷つけてしまうこともあります。ご高齢の方では、歯の根元が露出していたり、歯の質が低下していることが多いですが、こうした場合に研磨剤入りの歯みがき粉を使うと、歯を傷めてしまい、むし歯になりやすくなることがあります。また、入れ歯をみがく際に研磨剤入りの歯みがき粉を使う方もいらっしゃいます。しかし、これも入れ歯の表面を傷つける原因となります。傷がつくと細菌が繁殖しやすくなったり、入れ歯自体が傷んでしまうこともあるため、避けるようにしましょう。
おすすめなのは、研磨剤が含まれていない歯みがき粉です。正しいみがき方をすれば、研磨剤がなくても歯の汚れをしっかり落とすことができます。歯や入れ歯のケアの基本はブラッシングです。
ぜひ、正しいみがき方を身につけていきましょう。

泡の出ない歯みがき粉

一般的に歯みがき粉には発泡剤が含まれています。 通常の泡の出る歯みがき粉を使うと、口腔ケアの刺激によって出てきただ液と混ざり多くの泡が出ます。そのため誤嚥の危険性が高くなったり、ブクブクうがいができない方の場合、その後のふき取りが大変になることがあります。
そんなときは、泡の出ない(発泡剤の含まれていない)ジェルタイプの歯みがき粉を使うことをおすすめします。また、誤嚥の心配がある場合は、歯みがき粉の使用は控えましょう。

予防する歯みがき粉

「フッ素配合」や「歯周病予防」など、お口のなかのトラブル対策のために薬剤の入った歯みがき粉があります。
一般的にフッ素と呼ばれているものは、正しくはフッ化物といって歯の再石灰化を促し、同時に歯に取り込まれることで酸に強い歯となり、むし歯になるリスクを軽減させる作用があります。
また、歯周病予防と表示されている歯みがき粉には、歯ぐきを引き締める効果があるものや殺菌効果のあるものなど、さまざまなアプローチがあり、それぞれ効果は異なります。
ご自身、または口腔ケアを行う対象の方に合わせて選びましょう。
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POINT

歯みがき粉には、さまざまな役割や機能があります。

汚れを取り除く、という点においては 歯ブラシでのブラッシングが大切なの。歯みがき粉をつけすぎてしまう人が多いけれど、ほんの少しで十分なのよ。
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