高齢者・要介護者の口腔内の特徴
高齢になるとお口の機能はだんだん低下するの。
食べたり、会話するのが難しくなってくるのよ。
高齢者の日常
高齢者のお口の中を考える前に、まずは高齢者の日常生活を考えてみましょう。
多くみられる症状として、次のものが挙げられます。
- 食べこぼしがある
- むせる
- うがいができない
- 口臭がある
- お口が渇く
- 歯磨きができない、またはしない
- 話をする機会がない、人と関わらない
- 笑わない
- 表情がない
- 転びやすい
- 微熱が続く
こういったことは、口腔機能が低下している1つのサインです。
まずは歯科医師や歯科衛生士へ相談することをおすすめします。
そして、上記の症状を改善すべく
「以前の口腔機能をできるだけ取り戻せるような口腔ケア」
を目指していく必要があります。
高齢者の口腔内の特徴
高齢者の口腔内は、若い世代と違った特徴があります。
治療のあと・入れ歯が多い
高齢者は全ての歯が揃っていることは少ないため、入れ歯を使用している方が多く、また様々な治療による詰め物、被せ物が多く見られます。
自浄作用(じじょうさよう)が働かない
お口には本来、自分で清潔を保つ力である「自浄作用(じじょうさよう)」が備わっています。自浄作用とは、歯の表面や、歯と歯のすき間、舌などのお口の粘膜に付着した汚れや細菌をだ液により洗い流し、お口の中を清潔に保つ働きのことです。
運動障害やまひがあると、口腔機能が十分ではなく、自浄作用が働きにくくなります。高齢者の場合は、自浄作用が知らず知らずの間に低下している方が多いです。
むし歯・粘膜疾患が増える
高齢者の口腔内は、特定の部位にむし歯ができやすい傾向があります。
例えば、次のようなむし歯が考えられます。
- 歯ぐきが下がることによる、歯の根の部分のむし歯
- 詰め物、被せ物の中にできる隠れたむし歯
自浄作用の低下により、本来洗い流されるはずの食べかすや細菌が口腔内で増殖しむし歯や歯周病の原因をつくり出します。また、加齢に伴い抵抗力が落ちることで、歯周病や粘膜疾患を進行させます。
粘膜疾患とは、口腔内のほほやあご、舌に発症する疾患のことです。代表的なものとしては、口内炎や義歯性腫瘍などが挙げられます。
お食事がお口の中に残る
高齢者の中には、お食事をきざみ食にしたりとろみをつけて召し上がる方もいます。
きざみ食は歯のすき間や口腔内に食べかすが残りやすく、ねばりけの強いペースト食は、口腔内に長時間停滞しやすくなります。
高齢者の多くはだ液の分泌が十分ではなく、口腔内は乾燥しがちです。口腔内がだ液で潤っていないと、食べかすを洗い流す作用が働かなくなったり食べ物を飲み込むことが難しくなったりします。
こういった原因により口腔内環境は良くない状態になり、口腔内が衛生的でないことが原因で起こるむし歯や歯周病も悪化します。
お口が乾燥する
加齢に伴い、だ液の分泌量は減少します。
特に、高齢者の口腔内は内服薬の副作用で
さらにだ液が少なくなり、口腔内が乾燥してしまいます。
そのため、だ液の重要な役割を十分に果たすことができなくなります。
噛む、飲み込む、発声することをスムーズに行うことができなくなり
また、乾燥により入れ歯が痛くて入れられない、などの症状が現われます。
お口の中ってこんな問題があるんだ…
ぼく、おじいちゃんリスが心配になってきた。
お口の機能が低下すると、だ液が出にくくなって
細菌が増えたり、
汚れやすくなったりしてしまうの。
お口の中が不衛生になって、乾燥すると、
お口が自分で自分をきれいにすることが難しくなってきてしまうのよ。